お湯を入れて嫌な臭いがするお椀は何が原因?

吸い物椀

業務用漆器は樹脂製の漆器が主流です。その中でも、漆器といえば、思い浮かぶものは味噌汁やお吸い物用のお椀ではないでしょうか。

最近では、洗浄機対応のお椀は当たり前。洗浄機対応で、価格も手ごろでというと、耐熱ABS樹脂製のお椀が種類も豊富に出回っています。

 

ここで、時々聞かれるのが、新しく購入したお椀の臭いについてです。何もいれない状態ではそれほど気にならないのですが、温かい汁物を入れたときに気になる臭いがでることがあります。もちろん全部が全部そうとはかぎりません。最初気になる臭いもお味噌汁を入れることでだんだん臭いも薄まっていき、いつの間にか気にならなくなるようです。

この臭いの原因は、樹脂そのものの臭いだったり、塗料に含まれるシンナーによるものだと推測されます。他にも考えられることは生地と塗料の相性や塗装して乾燥機に入れる焼き付け温度や乾燥時間など、いろんなことが考えられるようです。

正直、私も化学塗装の製品は臭いが多少でても仕方ないものだと思っていました。

でも、ある塗り師さんが教えてくれたこと。

素地と塗料の相性を確認するため、あらかじめ試験塗りして、しっかりした温度と湿度管理、塗料とシンナーの割合、シンナーの質、などしっかり管理・調整することでそういったトラブルはなくなる。完全に、というわけではないにしろ。

長年の経験で培われたことだと思いますが、ただ塗ればいいという考えではない職人さんというのは塗りあがりも違うのは当たり前です。その分、他のところより値段が高くても当たり前なんだと納得できますし、もし自分が使うならこの人が塗りあげた製品を使いたいとも思ってしまいます。一メーカーの業務用漆器に携わる人間として反省しきりです。

価格競争から入る製品は、いかに安くできるか?ということから始まりますが、こうなると職人さんばかりが苦しい思いをすることになりかねません。塗り代○○○円と最初に決められると、それに見合った材料を使うしかなくなり、いかに効率的に仕事をこなすかということばかり考えなくてはいけません。こうなると、誰が幸せなんだろう・・・そんなことを最近よく思うのです。

当社がつきあいのある塗り師さんたちは、幸い良い方たちばかりで感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、適正価格でしっかりした製品に仕上げて、作る側、売る側、使う側、みんなが幸せになれるといいなと願っています。

価格で買われていく製品は、塗り師さんの質も落としかねない。このままでは数十年先に塗り師さんがみんないなくなってしまうのでは?

使う人の事を考えるなら、しっかりした製品を安心とともに届けたい。そして、喜んで使ってもらいたい。これからはそんな製品作りをしていかなくては、と改めて感じています。

 

投稿者:

ooishi

実家の漆器屋で働いているワーキング主婦。夫と二人の子供の4人家族です。 仕事や趣味を思いっきり楽しむために、日頃興味のあることをこのブログに綴っています。