味噌汁椀を作るシリーズその7 下地の工程です。
前回のブログは「木地固めの工程 味噌汁椀を作る6」
木地固めの工程が終わったら、今度は錆付けをしていくのですが、その前にお椀の内側の底に布を貼ってより丈夫なお椀にします。
布着せ
布着せ用の布です。この布を漆で貼り付けます。漆が接着剤代わりになるんですね。
↑こんな感じで布を貼ります。
この工程を「布着せ(ぬのきせ)」と呼んでいます。
このように、痛みやすい弱い部分に布を貼って補強することで、より堅牢なお椀に仕上げることが出来るのです。
↓お椀の外側 ※木地固めをしたあと、綺麗に研ぎを施したお椀の写真です。
全体に同じように漆を染みこませても、このように色の濃淡が出るのは、天然の木の素材ならではですね。
下地
地の粉といって、珪藻土を焼いて細かくしたもので、下地を行います。二辺地・三辺地となっているのは、細かさが違うからです。
粗いものから、より細かいものを塗り重ねていくことで、丈夫でなめらかな下地を作ります。
下地用のへらも、職人自らが作ります。
なめらかな曲線を描いているお椀のような形状は、その角度に合わせて、いくつかのヘラを使い分けなければいけません。
地の粉と生漆と米糊を混ぜ合わせます。
ヘラを使って、器用に塗り重ねていく職人さんの作業は見事で、ただただ感心するばかりでした。
お椀の高台の中は、それに合った小さいヘラを使います。
内側の布着せの部分 ※左は下地前のもので、右は下地を施したもの
こうして、下地を施すことを、本堅地(ほんかたぢ)と呼び、最高級のお椀に仕上げます。
見えない部分にどれだけ手をかけているかで、丈夫さが違ってくるのです。