ハレの日=ちょっと特別な日ですよね。そんな特別な日のお祝いは、外で普段食べられないようなプロが作る美味しいお料理をいただくのもいいですが、お母さんが作るご馳走を家族みんなで食べて祝うというのも最高ですよね。
ハレの日を自分の手料理でお祝いしたいと考えているお母さんに使って欲しいと思って作ったのがハレの日おもてなしの器ショップの商品なのですが、開発に至るまでのお話を書きたいと思います。
ハレの日おもてなしの重箱
この重箱は、元々「松花堂弁当」なのです。松花堂弁当というと、家庭ではあまり聞き慣れないものだと思いますが、和食を扱うお店で懐石のお弁当や会議弁当などに使われてきました。
通常の松花堂はこんなふうに使います。↓
松花堂弁当のイメージです。こんな風に仕切りで区切ってお料理を盛り付けた器がいくつか並んでいるのですね。
ハレの日おもてなしの重箱の「デザイン」について
ハレの日おもてなしの重箱は一つ一つが普通の松花堂を4分の1のサイズにした大きさです。4つを並べて普通の定番の大きさになるといったイメージです。
デザイン自体は20年以上前に作られました。当時の松花堂弁当のデザインとしては画期的なデザインでした。昔からちょっと変わったものを作るとお客様から言われていた当社ですが、シンプルかつ変わったデザインがお客様に好まれました。
そして、今までに様々な飲食店様でお使いいただいています。塗り色もさまざまで、漆器らしい黒・朱に加え、金・銀・緑など別注で作ることもありました。
その後、他のメーカーからも同じようなデザインのお弁当箱がでていますが、一番初めにアイデアを考えて作ったのは我が社だったと思います。この業界は、いいと思うとそのままそっくりな型で真似して作るということも日常茶飯事なことで、それが良かったり悪かったり・・・ちょっと複雑ですね。
「ハレの日おもてなしの重箱」と名付けましたが、業務用漆器としては「ファンシー松花堂」という名前で呼んでいます。一つの箱の一辺が12cmで、箱自体も重なる設計なので小ぶりの重箱として使うことができます。
箱専用のフタもあり、2つ並べておくことができるプレートもあり、プレート自体もフタとして使用可能ですべてがスタッキング可能な設計で業務用ならではのノウハウが活かされたデザインになっています。
しかもシンプルであるというところが一番なのだと思います。シンプルだからこそ長い間使われているのだと思いますから。
このデザインを家庭でも使ってもらえないだろうか?と考えたのです。
ハレの日おもてなしの重箱の「塗り」について
ハレの日おもてなしの重箱は、ピンクや白の塗りの上に銀パールがあしらわれた云わば漆器らしくない塗りです。なぜパステル調の色にしたのかといいますと、私がまず好きな色だということもあるのですが、漆器特有の重い色にこだわらない仕上がりにしたいと思ったからです。
パステルカラーにすると安っぽくなるということはありがちなのですが、この色は、多分この職人さんのところでしか出せないだろうというこだわった塗り色にしました。私が最も信頼している職人さんです。
ただし、盛り付ける部分(内側)は黒にしました。これは、薄い色だと料理の色が移りやすいという理由からです。それから、黒のほうが和食を盛るには映えると思います。
価格の差というのは、例え見た目が同じようなものでも、どれだけ手をかけているかで違ってでてきます。
木製の重箱は特にですが、どれだけ下地の工程が多いか、というだけでも価格に差がでてきます。
ハレの日おもてなしの重箱は木製ではありません。ABS樹脂製で一般によく使われる樹脂で金型成型ですので、生地自体は木製と比べるとかなり安く仕上がります。ただ、塗りにはこだわりました。きちっとした仕上がりにするために、食品衛生法に合格した塗料(これは当たり前のことですが)で一つ一つ丁寧に塗ってもらいました。一つ一つたくさん手をかけているので、通常の商品よりも仕上がりに時間もかかります。
業務用漆器だと、どこで価格を安くしようか?と考えなくてはいけないこともありますが、この重箱は全く逆で、とにかく越前漆器産地の業務用漆器のノウハウを120%出せるくらいの仕上がりにしたいと思いました。
質の良い上品な重箱ができました。この重箱にお料理を盛り付けて、お正月や運動会、お花見など家族みんなで楽しいひとときを過ごしてもらえたら嬉しいです。
余談ですが、重箱に似合う風呂敷もセットにしています。この風呂敷に包んで行楽にでかけてくださいね(^^ゞ