漆木目塗りの漆器がなくなる日

先日、河和田の職人さんがお亡くなりになりました。
今までお世話になっていた職人さんだけに、突然のことで驚きと共に本当に寂しいし残念だなぁという気持ちでいっぱいです。謹んでご冥福をお祈りいたします。

亡くなられた塗り加工職人Kさんは、漆木目師さんでした。

漆木目盆

こんなお盆、一度は見たことあるのではないでしょうか。

以前(私の記憶では1980年代頃まで)はお盆やお弁当箱といえばこの漆木目の柄は代表的な塗りの一つで、業務用漆器を扱う越前漆器河和田塗りの産地では当たり前のように使われていた塗りです。いわゆる昔の流行りの塗りだったのだと思います。

その頃、漆木目師さんはたくさんいらっしゃいました。私の会社でも何人かの木目師さんにお願いしていた記憶があります。

そういう時代を経て現在に至るまでに、漆木目の塗りというものが徐々に注文が減っていきました。イマドキの好まれる塗りではなくなってきたのです。注文が減っていけば、仕事も減っていくのは当然の事で、一人二人・・・と漆木目師さんが減っていきました。当然、新しく木目を描く職人さんが育つこともありません。

それでも、年に何回かは漆木目塗りの注文はなくなることはありませんでした。

何年か前に私の会社でお願いしていた漆木目師さんが「廃業して別の仕事をするから」と挨拶にこられました。実はそれまでにも、漆木目の仕事のかたわら別の仕事もされていたのですが、とうとう辞めることにしたということでした。

時代の流れだから仕方のないこととは思いながらも、正直どうしたものかと悩みました。その時にいろいろ聞いて探し当てた木目師さんがKさんだったのです。

Kさんは70歳を過ぎてはいましたが、漆木目はこの産地の伝統的なものだからと会社に来られた時にいつも話をしてくださいましたし、木目を活かしてちょっと変わったものを試作してみたりとまだまだお元気で精力的だなという印象を受けていました。

先月も毎月10日の集金日にKさんご本人が来られていたので、突然の訃報に驚くばかりだったのです。
Kさんが他界された今、私の会社では漆木目の漆器はすべてお断りしています。
この産地に漆木目師さんがまだいらっしゃるのかどうか(多分いらっしゃらないのかも・・・)わかりませんが、何事においても永遠ではないんだなと思い知らされています。
この産地には他にも専門的な職人さんがどんどん減ってきています。

日本のものづくりは世界に誇れるものだと心から思っていますが、伝統産業の産地で職人さんが減り続けているという事実に改めて寂しさを覚えています。

 

投稿者:

ooishi

実家の漆器屋で働いているワーキング主婦。夫と二人の子供の4人家族です。 仕事や趣味を思いっきり楽しむために、日頃興味のあることをこのブログに綴っています。