捨てようと思っていたものが「良いもの」に見えてくる時

めまぐるしかった四月もそろそろ終わろうとしています。もうすぐゴールデンウイークですね~!

今年の連休は、一日くらいは読書したり編み物したりしてのんびりする日を作り、後は本格的に断捨離を実行しなくっちゃと思ってはいますが、どこまでできることやら・・・

さて、今日は漆器修理に関するご相談をいただいて、その気持ちわかるな~って思ったことを書き留めておきます。

 

相談の内容

亡き母から生前に形見分けをもらった。その中に蓋付きの吸物椀が20客あり、母は「このお椀はとても良いものだから」と言っていたことを覚えている。

もらった当時は、『良いものと言われても古いお椀だな』くらいにしか思っていなかった。実は何年か前にずいぶん漆が剥がれてしまったものは処分してしまい、手元に残っているのは4客のみ。

現在、自分が当時の母くらいの歳になり、そろそろ整理して子供に渡せるものは渡そうと思い立ち、4客残ったお椀を改めて眺めると、昔とは違う感情が湧いてきて、すごく大事なものに思えてきた。もらった当時は全く興味がなくて、実際一度も使ったことがないのに、なぜだかとても良いものに思えてきた。少し前までは捨てるリストに入っていたのに、今はどちらかというと捨てられないリストに入っている。

このお椀4客はおそらく100年ほど前のもので、その割に状態も悪くはないけれど、艶がなくなっていて、縁の金色が剥がれている。きれいに塗り直して子供二人に2客ずつ渡すべきかどうかを決めかねている。

ちなみにお椀のフタには蒔絵が描かれていて、蒔絵は全く損なわれていない状態。

 

相談内容で共感したこと

別に興味がなかったものが、歳を重ねることで違う感情が湧いてきて、すごく大事なものに思えてきた というところが、私にも思い当たることがあって、思わず「あ~、なんか分かります!!!」って思わず相槌を打ってました。

もらった当時は、いくら「良いもの」と言われても、興味がない人にとっては「どうでもいいもの」でしかないんです。だから全く使わなかったのだろうし、傷んできたものはどんどん処分したのだろうし、修理しようという考えは全くなかったのでしょう。

それでは、なぜ今になって、気持ちに変化が出てきたのか?

これは、その人にしかわからない感情なんですよね。お母様との思い出だったり、今までの人生を通して生まれてくる感情で、いろんなモノやコトがたくさん入り混じったものだろうから。

私がこの気持ちの変化に共感したのは、同じような年代だからということもありますが、昔より今のほうが人の手によって丁寧に作られたものに、より温かみを感じ、より高い価値を感じるからだと思います。

 

私がアドバイスしたこと

いろいろお話を聴いて私が回答したのは、以下のようなことです。

今現在、そんなに傷んでいなくて普段使わないということであれば、そのまましばらく置いておくのはどうでしょうか。

もし、艶がないのが気になるのであれば、息をはぁ~と吹きかけて柔らかい布巾で拭いてみるだけでも多少違うかもしれません。

これから吸物椀として使うということであれば、当然劣化しているのでオヤ(お椀)だけでも塗り直すことをお勧めします。

お椀を塗り直す場合は、色がフタとは同じにはならないので、ご了承いただく必要があります。

他にも、想像できる範囲でお話ししました。

この後、お客様自身、息を吹きかけて柔らかい布で拭いてみたそうで、少し艶がでてきたそうです。

それで、「もう少しこのまま置いておいて、また相談に乗ってくださいね。」ということで電話を切りました。

たいしたアドバイスはできなかったにしても、電話で応対し始めた時と、電話を切る直前では声のトーンが明るく変わっていたように思います。

こういうご相談やお問い合わせの電話を一日一回はいただくような毎日ですが、私のほうが勉強になっているな~と感じています。

 

 

投稿者:

ooishi

実家の漆器屋で働いているワーキング主婦。夫と二人の子供の4人家族です。 仕事や趣味を思いっきり楽しむために、日頃興味のあることをこのブログに綴っています。